「朝夕」の感想
朝夕
あさゆう
初出:「文藝春秋 13巻3号」文藝春秋社、1935(昭和10年)3月

林芙美子

分量:約38
書き出し:わかればなしが持ちあがるのも、すべてはゆきなりの事だと、芯から声をあげて、嘉吉もなか子もあはあはあはと笑ひあつたのだが、嘉吉の心の中には、ゆきなりとは云ひぢよう、ゆきなりの事だと云ひきれないものがあつたし、なか子の心のうちには、これからひとり者になつてゆく淋しさを愉しんでゐるふうな、そんな吻つとしたところがあつた。で、ふたりが、いまさらゝしく声をたてゝ笑ひあふのも、これでおしまひだねと云つた風に、...
更新日: 2024/04/09
19双之川喜41さんの感想

 数年間 ほそぼそと 小商いの 洋品店を 営んできた 夫婦に 別れ話しが 持ち上がり 夜逃げ 同様に 店を 畳んだ 二人は 再出発を それぞれ 試みるけど うまく 行く 分けもなく 閉塞感に 充ちた 展開の 文章である。細部にわたり 原価の符丁など 巧みな 表現に 詩情を 感じた。