昔は物乞いする子どもが本当にいたんだろうか? 嘘か信か知らぬが金の無い貧乏であることは真実であろう。 もし、現代にそんな子どもに遭遇したら自分ならどうするか? 当時の貨幣価値が定かではないが、500円くらいをせびって、最後には100円でもいい、と子どもが妥協したと仮定する。100円で何が買えるかは別としても、さて、物乞いの子どもに金を渡すだろうか? ナイフで脅されて有金全部奪われるのとはわけがちがう。 何回も遭遇してれば別だが、恐らく、初めてなら渡すだろう。 作者もそうした。子どもの話を信じたのだ。しかし、二度目は違った。子どもは変わっても、信じようとすらしなかった。後に少し大人気ないと反省もしている様子だが、弱者に対しては高圧的に人はなるものだ。作者が仮に往来を歩いていて、カツアゲされたらどうするか?子どもをあしらったように毅然とした態度を示すであろうか? 被害額は十銭やニ銭では済まない。命を落とすかも知れぬ。 強盗と詐欺。 どちらが許せないか? もしかしたら、あしらわれた子どもは逆に強盗にあったような恐怖を味わう可能性もある。大人に暴力を行使され怒鳴られているかも知れぬ。 その意味では物乞いの子どもは大人よりも勇敢な詐欺師である。