古典竜頭蛇尾
こてんりゅうとうだび
初出:「文芸懇話会 第一巻第五号」1936(昭和11)年5月1日分量:約7分
書き出し:きのうきょう、狂せむほどに苦しきこと起り、なすところなく額《ひたい》の油汗|拭《ぬぐ》うてばかりいたのであるが、この苦しみをよそにして、いま、日本文学に就いての涼しげなる記述をしなければならない。こうしてペンを握ったまま、目を閉じると、からだがぐいぐい地獄へ吸い込まれるような気がして、これではならぬと、うろうろうろうろ走り書きしたるものを左に。日本文学に就いて、いつわりなき感想をしたためようとした...