この話に登場する宝永5年は西暦1708年だそうで、バテレン追放令が出た1500年代終わりからはかなりの年月が経ち、隠れキリシタンの処刑もまだ尾を引く頃が舞台のようです。ある1人のキリシタンは伝道のために日本に訪れ、そして捕まります。役人との問答の中で、当時の日本が知り得ない異国の風景や文化などを語りますが…?というもの。異教にはさほど興味がないもののやはり語られる見知らぬ物事は無視できないというのが鮮やかですね。もちろんこれは実際にそれを見た者の記述ではありませんが、そのようなリアルさをもって書かれています。著名な過去の作家による大河ドラマのようでワクワクしてしまいました。ありがとう太宰治
これは太宰が芥川賞をとれなかった事を悔やんで書いた小説である。その点を留意して読むと面白いことが見えてくるだろう。
個人的には、 今年3月頃に公開された「沈黙」と重なった場面が多々あったと感じた。
旧かな使いの教養小説です。教養高い人には響く作品です。
筆者は好きだったようだが、なかなか難しい作品である。思念をもって日本にきて、言葉が通じず空回りしている様。