映画雑感(Ⅲ)
えいがざっかん(さん)
初出:「キネマ旬報」1934(昭和9)年6月、「映画評論」1934(昭和9)年10月分量:約38分
書き出し:一にんじん「にんじん」は忙しい時にちょっと一ぺん見ただけで印象の記憶も散漫であるが、とにかく近ごろ見たうちではやはり相当おもしろい映画の一つであると思われた。登場人物の中でいちばんじょうずな役者は主人公のにんじんである。少しも芝居くさいところがなくて実に自然に見える。幼い女の子も同様である。もっともこれは何もこの映画に限ったことではない。昔のジャッキー・クーガン以来小さい子供はみんなたいてい映画俳...