「小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」」の感想
小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」
こいずみやくもひこうがほん「ようましわ」
初出:「帝国大学新聞」1934(昭和9)年10月

寺田寅彦

分量:約7
書き出し:十余年前に小泉八雲《こいずみやくも》の小品集「心」を読んだことがある。その中で今日までいちばん深い印象の残っているのはこの書の付録として巻末に加えられた「三つの民謡」のうちの「小栗判官《おぐりはんがん》のバラード」であった。日本人の中の特殊な一群の民族によっていつからとも知れず謡《うた》い伝えられたこの物語には、それ自身にすでにどことなくエキゾティックな雰囲気がつきまとっているのであるが、それがこ...
更新日: 2022/03/10
3afe7923d6ecさんの感想

中谷宇吉郎の「南画を描く話」という随筆を読んでいたら、そもそも中谷が墨絵に興味を持った切っ掛けというのが、寺田寅彦の墨の研究からだったと書いてある。 寺田寅彦の随筆に「墨流しの研究」とか「墨と硯に関する物理的研究」というのがあるそうだ。 へえ~、なんだか面白そうじゃないか。 そこで、中谷随筆の方は読みかけだが、それは脇に置いといて、さっそく、寺田寅彦の墨関係の随筆を覗き見ることにした。寄り道だ。 よくいえば好奇心旺盛、しかし、別にわざわざ悪く言わなくとも、たちの悪い浮気性には違いない。 それに、変に格好つけて留保などすると、そのうちに忘れてしまうおそれもある。歳だからね。 いずれにしても、早いに越したことはない。 まずは作品検索から取り掛かった。 寺田寅彦の作品リストのアタマから「墨、墨、墨······」と、探したのだが、なかなか見つからない。 と、そのうちに、この「小泉八雲秘稿画本」に行き着いた。 実は、ある期待をもって、この随筆を読んだのだが、もちろん、自分の思い描いた内容(性語集)ではなかった。 落胆ついでに、自分が、どういう期待をしていたか、後世のために「性語集」の解説原文をここに残しておく。 《「性語集」とは、性器·性交に関するアメリカの俗語を集めた八雲自筆の草稿資料。1964年に発見された。 内容は、アメリカの性俗語、性器、性交、性行為に関する隠語集で、約30項目、480語に及ぶ採集ノートというべきもので、八雲が民俗学的資料として収集してものである。 その貴重、珍且つ稀なる二葉の紙片が八雲独特の筆跡によって書き埋められている。 このノートは「小泉八雲草稿·未刊行書簡拾遺シリーズ」第1巻1990に「性関係俗語隠語」として収録された。》

更新日: 2016/08/27
微睡みの白兎さんの感想

小泉八雲が妻の話を聞きながら想像図を描いている姿を想像して頬が緩んだ。自筆画が残っているなら是非見てみたいもの。