本人含めた実在の作家が出てくるのは面白い。小泉青年は考えてばかりで疲れそうだね。結局作家として世に出るのか、女たちとはどうなるのか分からないまま終わるのは消化不良。文体も漱石のようなくすっと笑えるようなおかしみがなくて固いのが鴎外さんらしい。
青年というからには、若さとか情熱とか燃え上がる恋とかいうものを想定しがちだが、そこはやっぱり鴎外翁。理性的でストイックな主人公に仕上がってます、 ただ、純一(主人公)の青年らしい拙さは、「(芸術のために)恋にあこがれてるけど、恋を始めるきっかけがわからない」ところかな。 あるきっかけで知り合った美人の後家に弄ばれ?て、この恋?に飛び込んで良いのかどうか躊躇っている。 しかも、恋愛の手本をヨーロッパの小説に求めているところなんて、いかにも初々しい理想の高さが伺える。 その美貌から、作中なんどか恋愛フラグか 立っているのに、同性(大村さん)までもが、この美貌とかわゆい笑顔にめろめろになって「もしかして自分はホモなんじゃ?」とか思っちゃうのに、恋愛に対していまいち上手く立ち回れない(理想や理性や経験の未熟さから掣肘されて)、 そんな『青年』の物語でした。 ただこの純一という青年、あと五年も東京いれば、さぞや立派やプレイボーイとなるでしょう(笑)そのころまでに、立派な作品を書き上げられているかどうかは…わかりませんがww