停車場の少女
ていしゃばのしょうじょ
――「近代異妖編」
――「きんだいいようへん」初出:「講談倶樂部」1925(大正14)年5月分量:約17分
書き出し:「こんなことを申上げますと、なんだか嘘らしいやうに思召《おぼしめ》すかも知れませんが、これはほんたうの事で、わたくしが現在出会つたのでございますから、どうか其《その》思召《おぼしめし》でお聴きください。」Mの奥さんはかういふ前置《まえおき》をして、次の話をはじめた。奥さんはもう三人の子持で、その話は奥さんがまだ女学校時代の若い頃の出来事ださうである。まつたくあの頃はまだ若うございました。今考へます...