「薄明」の感想
薄明
はくめい
初出:新紀元社刊、1946(昭和21)年12月

太宰治

分量:約24
書き出し:東京の三鷹《みたか》の住居を爆弾でこわされたので、妻の里の甲府《こうふ》へ、一家は移住した。甲府の妻の実家には、妻の妹がひとりで住んでいたのである。昭和二十年の四月上旬であった。聯合機《れんごうき》は甲府の空をたびたび通過するが、しかし、投弾はほとんど一度も無かった。まちの雰囲気《ふんいき》も東京ほど戦場化してはいなかった。私たちも久し振りで防空服装を解いて寝る事が出来た。私は三十七になっていた。...
更新日: 2025/02/05
65c8aadc88adさんの感想

雙喜  太宰の 家族は 全員 東京から 甲府に 疎開する。途中 子供が 重い 眼病に 罹り 眼が 塞がったので 失明を 案じている。激しい 空襲の 下で やっと 診てもらえた 医者の おかげで なんとか 失明は 避けられた。それだけでも 微かな 明るさが 見えてきた ような 気には なる。執拗な 都市部に たいする 爆撃は 世界の 戦争の 歴史でも あまり なかった のではないかと 感じた。

更新日: 2024/01/17
cbeb8d424306さんの感想

悲惨な戦時下の体験談に胸がつまる。着の身着のままで焼失した自宅から、子ども二人連れて義妹を頼って疎開する光景は、当時の日常の出来事だと察する。太宰の家族に対する深い愛情に感動しました。どんな境遇にあっても、子どもの視線で接することができる、素晴らしい父親です。

更新日: 2021/06/15
e0814fef7374さんの感想

依然変わらず絶望的な状況なのだけど、妙に心がホッとしてしまう。不思議な感覚だ。

更新日: 2016/09/27
わたくしといふげんしょうさんの感想

戦時中、疎開先が空襲により焼け、多くの物を失った最中の希望

更新日: 2015/06/29
兎に角さんの感想

目の前の悲しみより目が見えた喜びが勝ったとはいえ、焼けた家を見て微笑している娘。 やはり、時代背景を生かしつつも太宰文学らしく、救いがあるような、ないような感覚の繰り返しのお話ですね。