夏目漱石氏-収入-衣食住-娯楽-趣味-愛憎-日常生活-執筆の前後
なつめそうせきし-しゅうにゅう-いしょくじゅう-ごらく-しゅみ-あいぞう-にちじょうせいかつ-しっぴつのぜんご初出:「大阪朝日新聞」1914(大正3)年3月22日夏目漱石
割と現代的な感覚でグチグチと正直に書いててよかった ただ300坪の家に住んで、妻と、6人も子供もいて、狭いとか暗いとか金がないとか、本当の庶民の身にもなって欲しい
現在の欲にまかせる自分の生活を反省するに簡潔かつ明快な文章だった。 やはり漱石は偉大だとかんじいった。 足るを知ることが重要。
印象に残った文は中盤の「性質は神経過敏であり、又神経遅鈍の方でもある。」とった部分。物事に対してどんな感情を持ち、それによって起こした行動が自分の周囲の人間に対してどんな影響を与えるのか、注意深く自分を観察しているのだと思った。言いたいことを言いやすくなった現代においては、このような自己洞察の姿勢は失われていく傾向にあるのではなかろうか。今一度自分にも問いかけ直したい。
縁側に 机を持ち出して 麦わら帽子をかぶって執筆する事があると言う。 ますます 親しみを覚える。 自己管理する能力も 卓越している。 植木屋は 金がかかると嘆く。楽屋裏管見。
淡々として気負いの無い、いかにも漱石らしい彼の生活と気質、、それに伴う文体が心地よい。
文人としての地位を固め、人から尊敬されると同時に、要らぬ気苦労を背負ってしまったのだろう。成功者を妬むあまりに、あることないこと言い立てる者がいるのは今も昔も変わらないようである。