「ソヴェト同盟の婦人と選挙」の感想
ソヴェト同盟の婦人と選挙
ソヴェトどうめいのふじんとせんきょ
初出:「大衆の友」1932(昭和7)年2月20日臨時増刊号

宮本百合子

分量:約10
書き出し:資本家・地主のロシアでは——「牝鶏は鶏ではない。女どもは人間ではない」むかしロシアにはこういう諺があった。女は男よりねうちのないもので人間ではないと云うのだが、では、むかしロシアの女はどんな扱いをうけていたのでしょうか?一口に云えば牛や馬のように扱われていた。牛や馬は或る家に飼われ、そこの主人がこきつかうままにこき使われ、食わされるものを食い、ナブられ、あげくによそへ売られれば、それが厭だという抗...
更新日: 2022/03/27
cdd6f53e9284さんの感想

敗戦で徹底的に痛み付けられた日本は、国土が荒廃し、すべての公共財産と社会システムを破壊されて、終戦直後から高度経済成長に至る復興まで、極貧状態の塗炭の苦しみを味わった。 そういう逼迫した状況の中で、社会主義が広く受け入れられ、一定の希望の幻想を与えられたかもしれない、そうした背景のなかで宮本百合子の小説なども容認され、文壇でも一定の位置が与えられたのだろう。 いまでは、ちょっと考えにくいのだが。 青空文庫でも、これだけの作品がアップされているが、果たしてどれだけのニーズがあって、そもそも掲載する意味と価値があるのだろうか、はなはだ疑問だ。 正直、あなたの役割はすでに終わった、薄気味悪いから消えてくれ、という気持ちしかない。 あなたが手放しで称賛しているロシア人は、いまでも相変わらず粗暴さを剥き出しにして、隣国ウクライナに侵略し、我がもの顔で大量虐殺に精を出している。 殺された幼児のベビーカーが剥き出しの街路に並べられている痛ましい異常な写真を、この21世紀になって見ることになるなんて信じられるか? 少し前の新聞に、開高健ノンフィクション賞を受賞した平井美帆の「ソ連兵に差し出された娘たち」の書評が出ていたので、あなたの薄汚れた作品が、青空文庫から悉く姿を消すであろう時のハナムケに、この書評を捧げよう。よく読んでおけ。間抜け。 ❮敗戦後、満州などに置き去りにされた在留邦人が、ソ連兵から受けた略奪と暴行は数多く語り継がれている。 朝鮮半島から引き揚げた作家の五木寛之さんは、収容施設に来たソ連兵が、「女を出せ」という現場を目撃している。 一番こたえたのは、連れていかれた女性が戻ってくると、労られるどころか、「あの人には、近づくんじゃない」と大人が語っていたことだったという。 女性たちはどんな思いだったか。 岐阜県から満州に渡った開拓団の生存者に取材した本書は、「団の皆を守るために犠牲になってくれ」と懇願され、ソ連兵の「接待」に出された女性の悲劇を掘り起こしたノンフィクションである。 「人柱」とされたのは、数え年で18歳以上の未婚の女性たち。 屈辱と苦しみは、命からがら祖国に戻ってからも癒えることはなかった。 団幹部の謝罪の言葉もなく、キズものと誹謗中傷された。 自決して貞操を守った女性を称賛する元団員の手記に接し、「頭が白くなった」という証言もある。 国から見捨てられた「棄民」の悲劇が新たな悲惨を生む構造にも迫る力作だ。❯