懶惰の歌留多
らんだのかるた
初出:「文芸」1939(昭和14)年4月分量:約32分
書き出し:私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は、怠惰《たいだ》である。これは、もう、疑いをいれない。よほどのものである。こと、怠惰に関してだけは、私は、ほんものである。まさか、それを自慢しているわけではない。ほとほと、自分でも呆《あき》れている。私の、これは、最大欠陥である。たしかに、恥ずべき、欠陥である。怠惰ほど、いろいろ言い抜けのできる悪徳も、少い。臥竜《がりょう》。おれは、考えることをしている。ひる...