東京の三鷹-武蔵野あたりの 万助橋-井の頭公園-動物園が 文中に 出てくる。中でも 玉川上水は 後に 太宰が 女と共に 身を投げて 自殺したことで 有名な 知る人ぞ知る 場所でもある。その上水で水泳ぎをしていた男と わけが判らない 高踏的かもしれない 難解な会話を交すという 筋である。太宰の 後の 自死による 自らの幕引きを 暗示しているようにも想えた。辛抱強く 読み抜けば なんだ そうだったのかと なるかもしれない。
爽涼なる作品。小説を読んで大笑いをしたのは、これが初めてのことです。
井の頭公園、玉川上水、動物園懐かしい風景である。話しの内容がおかしいと思っていたら夢の話だった。
あまり知られていない作品のように思うが、名言が多い。若者らしい感情の発露や潔癖さを、若者をとうに過ぎた太宰の視点から描いている。読み手からするとそんな太宰自身まるで若者のようなのがユニーク。 「なるべくなら僕は、清潔な、強い、明るい、なんてそんな形容詞は使いたくないんだ。自分のからだに傷をつけて、そこから噴き出た言葉だけで言いたい。下手くそでもいい。自分の血肉を削った言葉だけを、どもりながら言いたい。」 太宰らしい、不器用で沁みる言葉が印象的。
大好きな作品であり、人に推したい作品でもある。