イギリス風ファッションは能勢の父だと 能勢より早く発言してたら展開も見てみたい
誰よりも先に 実父を ロンドン乞食と 言ってのけたのは 能勢の 屈折した 父親に対する 愛情に 違いない。 私が 身辺で この馬鹿が等というセリフを 耳にするとき この掌編が 脳裏に 浮かぶのである。
能勢はどんな気持ちでああ言ったのかな。
人のもつ一瞬の感情の機微を描かせたら芥川の右に出るものはないと思わせる傑作。この作品を読んだ方は、きっと父親という存在の偉大さを思われることでしょう。
言葉の調子が良く。テンポ良く読める。
よみやすい。
短いがよい作品です。
高校の頃、読書感想文でこの小説について書いて、国語の先生に内容を一部褒められたのを思い出して嬉しくなりました。
「ちゃくい」と言うのが独特だなと感じた。能勢の父だと気づかず、その老人をちゃかす同級生達に自らの父を批評するように言われ、「ロンドン乞食だ」と答える能勢の、周りの気を悪くさせない器量の良さ。自分ひとり(あれは能勢の父だ)と気づいていた筆者がその時思わず俯いてしまった場面に一種の優しさが見えた。最後の悼辞に「君、父母に孝にーー、」と加えたところにも能勢への愛を感じた。それほど仲は良くなかったのに、ロンドン乞食の一件から能勢への見方が変わったのだろうなと思う。
明治の終わりごろの話と思われるが、中学四年生が「皆「僕」と云う代わりに、「己(おれ)」と云うのを得意にする年輩である。」とあり、一人称は今とそれほど変わらないのだなと思う。 教師について「本間なんぞはreceiveのiとeと、どっちが先に来るんだか、それさえ碌に知らない癖に、教師用でいい加減にごま化しごま化し、教えているじゃあないか。」と生徒同士で話しているシーンがあり、英単語の間違えそうなポイントに身に覚えがあり、百年ほど前も同じかと面白かった。