「八ヶ嶽の魔神」の感想
八ヶ嶽の魔神
やつがたけのまじん

国枝史郎

分量:約439
書き出し:邪宗縁起一十四の乙女《おとめ》久田姫は古い物語を読んでいる。(……そは許婚《いいなずけ》ある若き女子《おなご》のいとも恐ろしき罪なりけり……)「姫やどうぞ読まないでおくれ。妾《わたし》聞きたくはないのだよ」「いいえお姉様お聞き遊ばせよ。これからが面白いのでございますもの。——許婚のある佐久良姫《さくらひめ》がその許婚を恐ろしいとも思わず恋しい恋しい情男《おとこ》のもとへ忍んで行くところでございます...
更新日: 2015/05/18
あきふゆさんの感想

国枝作品は、独特の妖しく艶なる世界観があり、いつでも一気に惹き込まれる。未完の作品もある中で本作は非常に高い完成度で完結しており、国枝の奇談を初めて読む方にもお勧めの作品だ。舞台設定、場面切り替え、人物相関、どれをとっても見事に完成されておりテンポよく繰り広げられる冒険活劇、奇談怪談、死闘に次ぐ死闘は、ドラクエが江戸時代に舞台を移したかのようだ。グイグイと魅せられ、読了まで毎晩寝不足が続いてしまった。