「偸盗」の感想
偸盗
ちゅうとう
初出:「中央公論」1917(大正6)年4、7月

芥川竜之介

分量:約137
書き出し:一「おばば、猪熊《いのくま》のおばば。」朱雀綾小路《すざくあやのこうじ》の辻《つじ》で、じみな紺の水干《すいかん》に揉烏帽子《もみえぼし》をかけた、二十《はたち》ばかりの、醜い、片目の侍が、平骨《ひらぼね》の扇を上げて、通りかかりの老婆を呼びとめた。——むし暑く夏霞《なつがすみ》のたなびいた空が、息をひそめたように、家々の上をおおいかぶさった、七月のある日ざかりである。男の足をとめた辻には、枝のま...
更新日: 2024/04/23
19双之川喜41さんの感想

 盗賊達の 押し込みの 手はずとして 集まるところは 羅生門 集まる刻(とき)は 亥の上刻と 決まっていた。女が この一味を しきっており この作品が 他の 活劇小説と 異なるのは 心理描写や 情景描写が 卓越(たくえつ)しているところにあると 感じた。冒頭(ぼうとう)の 蛇(ながむし)の 遺骸(いがい)が 丁寧に 描かれているのは 暗示的(あんじてき)であり 著者の 才能を 示しており 詩情溢れると 想った。この作品は 比較的 長編なので 掌編(しょうへん)に比べて 敬遠(けいえん)されがちかもしれないけど 筋立(すじだ)てだけが 命の よくいる 読み手にも 満足を与える 他には 類(るい)を見ないとも 感じた。

更新日: 2024/03/08
阿波のケンさんさんの感想

平安時代の貴族の生活がNHKの大河ドラマなら下層民、盗賊一味の生活が描かれている。その盗賊と侍との闘いの描写は凄まじい。文章が動画となり眼前に現れる。

更新日: 2023/07/29
abc0e7fb9bbbさんの感想

芥川の話でいちばん好きです。愛、について考えました。

更新日: 2019/11/04
19双之川喜41さんの感想

 ここでは 羅生門は 盗賊の 集合場所であり 新しい生命の 誕生の場所となる。 三角関係 親子丼 密告など 多彩な出来事が 次々と起こり 目を見張る。 むしろ こちらを 映像化してもらいたかったと感じた。