「乞はない乞食」の感想
乞はない乞食
こわないこじき

添田唖蝉坊

分量:約10
書き出し:指がなくて三味線を弾く男浅草に現はれる乞食は、みなそれぞれに風格を具へてゐるので愉快である。乞食といふ称呼をもってする事は、この諸君に対してはソグハないやうな気がするくらいだ。いかにこれらの諸君が人生の芸術家であるか、また、浅草を彩るカビの華であるかといふことについて語らう。浅草といふ舞台には、かかる登場者が順次に現はれ、消えてゆく。指がなくて三味線を弾く男——。彼はロハベンチに腰を掛けてゐる。左...
更新日: 2025/01/04
65c8aadc88adさんの感想

雙喜   指が ないのに  三味線を 引く男は  タバコの 半分 の 吸い口で  糸を 抑え  バチの代わりに マッチの 棒を 操り 三味を 弾く。健常者と なんら かわりなく 弾いてみせる。 彼を 中心とした 一団は  誠に  わだかまりが ない。 見物人たちは 彼を卑しめることもなく  音色に 聞き惚れる。 浅草の 観音様の 周りの 雑踏の 中を  四国 八十八箇所巡りの  判を ベタベタ 押した 白衣を 着て 子供を 連れて 歩く  足が不自由な 女 乞食は  亭主は  4年前に 死んだけど  夫は 乞食の 親分だった ので 田舎から  都に 新人の 乞食が 上京してくると  下谷山伏町の 故人の 家に  顔出しに 来た。 亭主が なくなった後も  彼女は  夫の 遺志を 継いで 押しも押されもせぬ アネゴ である。政治家には 世襲制が よく見られるけど 物貰いの 世界でも 連綿として 代々 受け継がれて いくのである。某国でも 家督は相続すると 聞く。 乞わない 乞食は 時が 流れても 永田村あたりに 跋扈している。本業の 街頭生活者は 身を 晒して 潔く 稼ぐけど この村では 税もはらわずに 金にありつく。めでたいことと いうべきか。06:32

更新日: 2018/02/09
499d9d7566bbさんの感想

古き良き時代の浅草の話ですね。