「帰国」の感想
帰国
きこく

田山花袋

分量:約45
書き出し:一一行は樹立の深く生茂つた處から、岩の多い、勾配の高い折れ曲つた羊齒の路を喘ぎ喘ぎ登つて行つた。ちびと綽名をつけられた背の低い男が一番先に立つて、それから常公、政公、眇目の平公、子供を負つた女もあれば、木の根に縋り付いて呼吸をきらして登つて行く女もある。年寄もあれば、若い者もある。一行總て十五六人、誰も皆な重さうに荷物を負つて手には折つた木の枝を杖にしてゐた。十月の初めは、山にはもう霜が置いた。風...
更新日: 2025/10/17
艚埜臚羇1941さんの感想

  山窩は ある場所を 故郷の ように 想っていて 年に 一度は 各地から その地を 目指して 戻って くる 習性を 持っており かれらは その地を 特別の 場所として 再会の 愉しみとして 目差すという。放浪する 民族に とっては いわば 帰国 なのである。ヨーロッパでは ジプシーと よばれている ようだ。優れた 自然描写ではないけど 浮揚感は あると 感じた。