石清虚
せきせいきょ
初出:『東洋畫報』第一巻第五號、1903(明治36)年7月3日分量:約19分
書き出し:雲飛《うんぴ》といふ人は盆石《ぼんせき》を非常に愛翫《あいぐわん》した奇人《きじん》で、人々から石狂者《いしきちがひ》と言はれて居たが、人が何と言はうと一|切《さい》頓着《とんぢやく》せず、珍《めづら》しい石の搜索《さうさく》にのみ日を送つて居た。或日《あるひ》近所《きんじよ》の川《かは》に漁《れふ》に出かけて彼處《かしこ》の淵《ふち》此所《こゝ》の瀬《せ》と網《あみ》を投《う》つて廻《ま》はるう...