愚禿親鸞
ぐとくしんらん
初出:「宗祖観」大谷学士会、1911(明治44)年4月分量:約4分
書き出し:余は真宗の家に生れ、余の母は真宗の信者であるに拘《かかわ》らず、余自身は真宗の信者でもなければ、また真宗について多く知るものでもない。ただ上人《しょうにん》が在世の時自ら愚禿《ぐとく》と称しこの二字に重きを置かれたという話から、余の知る所を以て推すと、愚禿の二字は能《よ》く上人の為人《ひととなり》を表すと共に、真宗の教義を標榜し、兼て宗教その者の本質を示すものではなかろうか。人間には智者もあり、愚...