泉鏡花の美の描きかた、好きです。 しかし自分まで胸を切られたような感覚が読後も残って、ちょっと痛い。
一目見ただけで命を掛けれる恋,男女の交際が密では無かった時代、あったでしょうね。
『痛みますか』 『いいえ、あなただからあなただから』
「その声、その呼吸、その姿、その声、その呼吸、その姿」って読んだ時リアルに心臓ドキドキしたし後の 「青山の墓地と、谷中の墓地と所こそ変わりたれ、同一日に相逝けり」で乙女ゲージブチ上がった
100年以上前の文章なので始めからスルスルと読むことはできなかった。しかし声に出して読みたくなるようなリズムの良さや鮮烈さがあるし、分量が少ないので読みきるのは難しくない。分量が少ないだけに登場人物の心情や時代背景など、思いを巡らせる余韻もある。 明治期の読書の入門としてオススメである
時代と共に原文を読む能力が失われている、と言われ新訳などが出回る現代、浅学の私には少し読みづらい書体で書かれたこの作品に出会えたことは本当に幸運だったと思います。鏡花の言葉選びの才に、ガツンと殴られるような衝撃を受けました。日本語で美を綴る、とはこういうことなのでしょう。他の作品も読んでみたい、もっと殴られに行ってきます。┏(^0^)┛
伯爵婦人が外科手術をうけるにあたり、麻酔をされることをとにかく嫌がる。理由を聞くと、夢うつつになんぞやを呟いてしまうのが怖いという。 麻酔なしでやってほしいと言う婦人の意向をききいれ、メスをいれるが、婦人はそのメスを深く突き入れ自害してしまう。彼女の真意はいかに。 先読みさせない展開がよい。終始、どうなるのだろうか、これはどうしてなのだろうかとはらはらする。 鏡花先生の作品は女性がミステリアスで艶かしく美しく、そして毒がある。 伯爵婦人は医師にとってのファムファタールだったのであろう。一瞬でこんな激しい恋ができる人がいるのかとすこしぞっとしてしまう作品だった。
私は 反射過敏なので 手術の場面は 読んでいても目が眩む。 鏡花は 余韻を残すのが巧みで あれこれ 思い巡らす たのしみがある。 麻酔を かけても かけなくても 言うことは同じで 正気に こだわった。 軽く告ることは 流行ってなかったようだと感じた。
美しくて儚くて·····静謐な恋物語です。 内容があまりに非現実的なので宝塚の歌劇を見ているような、悲劇の中にも華やぎを感じる。 私はこの二人に嫉妬しているんだなと思います。 美貌とそれを凌駕する品性、ほとんどの人が持つことを許されない世界の許されない恋だったんだ。 読むと景色が見える作品です。
自分の存在そのものを賭けた、意気ってものを描いてみせたのかな?
とにかく美しい 文壇にこれほどまでに美を極めた人は居ないと思います
最初大事である下の会話がよくわからなかった。読みおわったあとに何度も何度も読み返すことで味わい深まる話。感情の描き方が繊細で情報がつまっている。力量不足でいまいち理解できていないところもあるのできちんと味わいたい。
(*_*)
ストーリーもさることながら、情景描写が素敵なものでした。泉鏡花の世界観に浸れる作品です。明治の作家はいい仕事するなぁ、と毎度のことながら思います。 最初の方はそう思いませんが、恋愛小説でした。それも、とびっきりの純愛もの。最近の恋愛ものは純愛ものと謳っていながら、そうかしらんと思うものが多いので、久しぶりに純度の高いものを読んで目眩がしました。 個人的に好きな台詞⬇ 「痛みますか」 「いいえ、あなただから、あなただから」 また、最後の方の『その時の二人がさま、あたかも二人の身辺には、天なく、地なく、社会なく、全く人なきがごとくなりし。』という一文が美しく、印象的でした。この世に2人しかいないって、どのような気分なのかしら……。 何度も読み返したくなる作品です。
この物語は上下に分かれている。 《上》 「私」は好奇心から友人の高峰外科科長による貴船伯爵婦人の執刀を見に行くことに。 そして「私」は貴船夫人は頑なに麻酔を拒んでいる事を知る。 だが、病は一時対処が遅れては取り返しのつかない事になると高峰は麻酔なしの手術を敢行する。 メスが骨に達する時、貴船夫人は高峰の持つメスを自分の胸に刺し自殺を図る。 《下》 「私」と高峰の過去の話。 《上》で語られた話の伏線を回収し、高峰と貴船夫人の秘められた関係に迫る。 泉先生の特筆すべき点としてあげるべきは女性の描き方であると思う。 この作品でも、「唇の色少しく褪せたるに、玉のごとき前歯かすかに見え……」などと素晴らしい表現であると言えよう。 泉先生の作品として、初めて読む場合でも楽しむことができると思われる。
伯爵夫人が頑なに守ろうとする秘密が話の主軸になります。 夫人の態度には狂気のようなものも感じられ、人の心(胸)の痛みや苦しみがよく伝わってくる作品です。 手術と人間関係の緊迫感に加え、狭い外科室という空間に息が詰まりそうです。
伯爵夫人が頑なに守ろうとする秘密が話の主軸になります。 夫人の態度には狂気のようなものも感じられ、人の心(胸)の痛みや苦しみがよく伝わってくる作品です。 手術と人間関係の緊迫感に加え、狭い外科室という空間に息が詰まりそうです。
文体が劇的で短い話なのに圧倒された。 信者じみたファンがいたという話も頷ける。
ただただこのうつくしさを感じて欲しい。
あまりにも美しい物語だ。 文語体の堅さで引き立つ余韻、その流れるような響きからふっと立ち上がってくる情景が堪らなく美しい。