「革鞄の怪」の感想
革鞄の怪
かばんのかい

泉鏡花

分量:約33
書き出し:一「そんな事があるものですか。」「いや、まったくだから変なんです。馬鹿々々しい、何、詰《つま》らないと思う後《あと》から声がします。」「声がします。」「確かに聞えるんです。」と云った。私たち二人は、その晩、長野の町の一大構《あるおおがまえ》の旅館の奥の、母屋《おもや》から板廊下を遠く隔てた離座敷《はなれざしき》らしい十畳の広間に泊った。はじめ、停車場《ステイション》から俥《くるま》を二台で乗着けた...
更新日: 2020/12/22
19双之川喜41さんの感想

 男は 鞄の中に 位牌を始め 一切合切を詰め込んで なぜか鞄の鍵を捨ててしまったので  婚礼に向かう 女の 着物の袖が 挟まっても  どうしようもなくなってしまった。 単純な 謎解きというわけではなく  ふたつの人生が 偶然にも 交差する有様を 美しく綴っていると感じた。