「近頃の幽霊」の感想
近頃の幽霊
ちかごろのゆうれい

芥川竜之介

分量:約8
書き出し:西洋の幽霊《いうれい》——西洋と云つても英米だけだが、その英米の小説に出て来る、近頃の幽霊の話でも少ししませう。少し古い所から勘定《かんぢやう》すると、英吉利《イギリス》には名高い「オトラントの城」を書いたウオルポオル、ラドクリツフ夫人、マテユリン(この人の「メルモス」は、バルザツクやゲエテにも影響を与へたので有名だが)、「僧《モンク》」を書いて僧《モンク》ルイズの渾名《あだな》をとつたルイズ、ス...
更新日: 2016/06/12
芦屋のまーちゃんさんの感想

幽霊の存在を信じるかは別としても、 そうした心霊的な小説が西洋にも東洋にも古くからある。西洋のそれは、見るもおぞましい醜顔ではなく、ちゃんと洋服を着た紳士・淑女のようだ。 ワシントンの幽霊がアメリカ出征軍に 加担する。うらめしや~、とは決して言わない。怨念・祟りというような、 ジメジメした暗い湿地が舞台ではない。もっと英雄視しているのだ! 宮本武蔵の霊がB29を切り落とすような話が日本にもあってよかったと考えてしまう。