「大正十二年九月一日の大震に際して」の感想
大正十二年九月一日の大震に際して
たいしょうじゅうにねんくがつついたちのだいしんにさいして

芥川竜之介

分量:約27
書き出し:一大震雑記一大正十二年八月、僕は一游亭《いちいうてい》と鎌倉へ行《ゆ》き、平野屋《ひらのや》別荘の客となつた。僕等の座敷の軒先《のきさき》はずつと藤棚《ふぢだな》になつてゐる。その又藤棚の葉の間《あひだ》にはちらほら紫の花が見えた。八月の藤の花は年代記ものである。そればかりではない。後架《こうか》の窓から裏庭を見ると、八重《やへ》の山吹《やまぶき》も花をつけてゐる。山吹を指《さ》すや日向《ひなた》...
更新日: 2018/09/21
ハルチロさんの感想

南関東大地震の時に活躍されていた文豪の震災記は、数編ある。本作品は、著者の被災時の心理、被災後の心理が読み取れて、面白いと感じています。特に、震災後の朝鮮人や社会主義者による暴動の風聞に対して、著者は、心の底では懐疑しながらも、表向きには世間に合わせて夜警に出ている旨の記述を見ると、著者の世間との接し方が伺えます。また、大地震発生の一週間前に、天災事変発生を予見していたことも、興味深い話でした。

更新日: 2016/04/25
3827ddee843eさんの感想

天災などにより壊滅的被害を受けた街並みは、見た目だけは甦る。天災前よりさらに発展した街並みになることもあるだろう。しかし本当に大事なのは、そこに住む人の心の復興である。