「その頃の赤門生活」の感想
その頃の赤門生活
そのころのあかもんせいかつ

芥川竜之介

分量:約4
書き出し: 一僕の二十六歳の時なりしと覚ゆ。大学院学生となりをりしが、当時東京に住《ぢゆう》せざりしため、退学届を出す期限に遅れ、期限後数日を経《へ》て事務所に退学届を出《いだ》したりしに、事務の人は規則を厳守して受けつけず「既に期限に遅れし故、三十円の金を収《をさ》めよ」といふ。大正五六年の三十円は大金なり。僕はこの大金を出し難き事情ありしが故に「然らばやむを得ず除名処分を受くべし」といへり。事務の人は僕...