自分の中に存在する悪。
未必の故意に苛まれる男だが、肝心の動機が八十二行抹消されているためわからない。わからないが、おそらく妻の性的機能の欠如から来る男の不満ではないか?しかし、一方でそれは男の誤解である可能性もある。結局、この男はサドであり、マゾッホである精神異常者で、欠けた指も自傷行為と考えると納得がいく。話し終えた男の顔は恍惚としていた、、、とは流石に書いていないが。
人の醜い心をあぶり出す名著だ。文中で語る人の左手が1本欠けていると 2度記述されているがこの意味が解けない。誰か解いて下さい。
面白かったです。
長い間 自責の念に駆られて 生きていくという主題は 夏目漱石の「こころ」などと 共通のものが あるかもしれない。貼られた 狂人というレッテルを うまく 隠れみのとして 活用して 凌ぐのも 選択肢の 一つとしては ありかなと 想ってしまったのである。
ずっと抱えていた自分に対しての疑惑を打ち明ける事がこの人に取って良かったのかもしれないけどこれを聞かされた方はよっぽどの人物じゃないと受け止められませんね…まあ突然の災害は怖いってことです
日頃から妻を憎んでいた事実を認めている以上、確信犯です。苦しんでいる様を見て、楽にしてあげたい、という感情はなかったのだろうか?この人は、仏に仕えて生きて行けばいいと思います。
自身の中にある疑惑に目を向けた時、良かれと思ってした事が罪になる事もある。責める者は己だけなのに、己によって苦しめられていく。真面目な人間は大なり小なり同じような苦しみを味わいながら生きているのだと思う。
贖罪の気持ちを押し殺していれば、心は晴れないが、良い暮らしを送れたことであろう。しかし、この人は自らが犯した行為を告白し、悪のレッテルを張られる道を選んだ。嘘をつくか、正直になるか。その選択はどちらもその人の幸せに繋がることはなかったのだろう。ふとしたことが、人の運命を大きく変えるということを改めて思い知らされた。
切ないお話でした。