「或る男の恋文書式」の感想
或る男の恋文書式
あるおとこのこいぶみしょしき

岡本かの子

分量:約4
書き出し:お別れしてから、あの煙草屋の角のポストの処まで、無我夢中で私が走つたのを御存じですか。あれはあなたにお別れしたくない心が、一種の反動作用を、私の行為の上に現はしましたの。それから私、走りながらも夢中の夢のやうに考へましたことは私がもし一寸でもふりかへつたら私はまたあなたの方へ……いえつひにあなたへ走りかへつて、永遠にあなたから離れられない、あの月夜の、月の雫が太く一本下界に落ちて、そのまゝ停つたや...
更新日: 2017/03/04
炎天下の炬燵さんの感想

好きです。 後半だけ読むと甘酸っぱいはなしだなと思うのですが前半の女性の心情描写が巧み過ぎて短編なのにのめり込みました。失望と安心の一見矛盾するような感情の表現が特に好きです。