「漂泊」の感想
漂泊
ひょうはく
石川啄木
分量:約36分
書き出し:
一曇つた日だ。立待岬《たちまちさき》から汐首《しほくび》の岬まで、諸手《もろて》を擴げて海を抱いた七里の砂濱には、荒々しい磯の香りが、何|憚《はばか》らず北國の強い空氣に漲《ひた》つて居る。空一面に澁い顏を開いて、遙かに遙かに地球の表面を壓して居る灰色の雲の下には、壓せれれてたまるものかと云はぬ許りに、劫初の儘の碧海が、底知れぬ胸の動搖の浪をあげて居る。右も左も見る限り、鹽を含んだ荒砂は、冷たい浪...
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