悲惨な描写に胸が締め付けられます。人間性を喪失した畜生にも劣る行為を平気で実行する、そこまで人間を変えてしまうものの正体とは一体なんでしょう。似たような状況は他国にもあります、にもかかわらず明暗が分かれたのはどこが違うのでしょう。そこのところに答えがある気がします。
怒りの矛先を支配層でなく支配層の道具である土佐犬に向けているという点で、相当な闇を感じました。 閉鎖された社会で虐げられ続け、逆らうと、逃げようとするとどうなるかを仲間の死をもって見せつけられる。 土方たちにとって棒頭や親方(支配層)は歯向かってはいけないもはや神のような絶対的存在で、憎むべき対象からは自然と除外されている。 だから、ラストで土方たちは憎むべきはずの支配層でなく、その道具である犬を憎んだ。。 閉鎖された特殊な社会って怖いよな… ってことを小林多喜二は描きたかったのだろなと思いました。 にしても源吉、お母さんに会いたかっただろうな…辛いな。
悲しいくらい残酷で、どうしようもないくらい人間らしい話でした。
私はいわゆる【ゆとり世代】といわれる世代ですが、こういう話を読む度に、今の日本と、昔の日本が、100年あるかないかの間に劇的な変化を遂げたこと、他にも色々考えさせられます。 小説とはいっても、実際あったことだろうなと思うと、いかに今の日本に生まれたことが幸せなことか、実感します。
見せしめの為に逃亡者を、犬に襲わせる、決して犬が悪い訳ではない。