「老主の一時期」の感想
老主の一時期
ろうしゅのいちじき

岡本かの子

分量:約45
書き出し:「お旦那《だんな》の眼の色が、このごろめつきり鈍つて来たぞ。」店の小僧や番頭が、主人宗右衛門のこんな陰口を囁《ささや》き合ふやうになつた。宗右衛門の広大な屋敷内に、いろは番号で幾十戸前の商品倉が建て連ねてある。そのひとつひとつを数人|宛《ずつ》でかためて居る番頭や小僧の総数は百人以上であつた。その多人数の何処《どこ》か一角から起つたひとつの話題が、全体へ行き渡るまでには余程の時間がかゝる。そしてそ...
更新日: 2019/11/04
19双之川喜41さんの感想

 葬列の場面は 何やら 吉原の 花魁道中を 彷彿とさせてしまう。 当時としては 老齢と言わざるを得ない男の 鬱々悶々とした心情がよく描かれているとは思う。