「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」の感想
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録
たいしょうじゅうにねんくがつついたちよりのとうきょう・よこはまかんたいしんかさいについてのきろく
初出:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

宮本百合子

分量:約24
書き出し:九月一日、土曜私共は、福井に八月一日より居、その日、自分は二階、Aは階下で勉強中。十二時一二分すぎ、ひどい上下動があった。自分はおどろき立ち上ったが二階を降るのが不安なほど故、やや鎮るのを待って降りる。あまり日でりがつづきもう一ヵ月余も雨が降らない故だろうと云う。一日中時々ゆりかえしがあり、自分は不安で仕事が手につかず。九月二日日曜自分は、今日たけをさんの学校にゆくつもりなのを仕事の都合でやめた。...
更新日: 2019/08/14
ハルチロさんの感想

大正時代の南関東大地震(関東大震災)に関して、幾人かの体験記を読ませて頂いた。本作品は、日記形式であること、地震発生時に著者は震源地付近には居らず、直後に被災地に入ったことから、比較的冷静かつ第三者的視点で、震災直後のことを時系列に著されている。震災に関して、資料性の高い作品であると思う。本作品中、著者は、南関東大地震発生時に、福井においても強い揺れを感じた旨を記している。愚生も阪神大地震の際、岡山で似たような経験をした。この時の経験から思うと、南関東大地震が凄まじい規模であったことを思う次第である。