宮本百合子
大正時代の南関東大地震(関東大震災)に関して、幾人かの体験記を読ませて頂いた。本作品は、日記形式であること、地震発生時に著者は震源地付近には居らず、直後に被災地に入ったことから、比較的冷静かつ第三者的視点で、震災直後のことを時系列に著されている。震災に関して、資料性の高い作品であると思う。本作品中、著者は、南関東大地震発生時に、福井においても強い揺れを感じた旨を記している。愚生も阪神大地震の際、岡山で似たような経験をした。この時の経験から思うと、南関東大地震が凄まじい規模であったことを思う次第である。