理想の光。暗黒の絶望。それらが合わさって「退屈な日常」へと。梶井さんらしい表現。
私は かけい(ひ)の 実物は ほとんど 眼にしたことは 無いけど 木や竹を 用いて 高い所に 水を 通す 細工(さいく」らしい。材木が 古びてくると 辺りの 景色に 溶け込み 判然と しなくなってしまう。水音に 導かれて かろうじて 眼に 入ったり することは あることはある。丁寧(ていねい)に 観察しつつ 著者は 山径(やまみち)を さぐると 想った。
希望(光)と絶望(暗)が表裏一体だなんて、自分の宿命を、現実を退屈と表現している。しかも、其れは永遠なのだと。束の間の光も錯覚、幻想。病と言う宿命からは逃れられないと言う絶望感。闇の作家として、後世に脚光を浴びるとは誠に皮肉なことだ。
生の幻影は絶望と重ねられている。