「筧の話」の感想
筧の話
かけいのはなし
初出:「近代風景」1928(昭和3)年4月号

梶井基次郎

分量:約5
書き出し:私は散歩に出るのに二つの路を持っていた。一つは渓《たに》に沿った街道で、もう一つは街道の傍から渓に懸った吊橋《つりばし》を渡って入ってゆく山径だった。街道は展望を持っていたがそんな道の性質として気が散り易かった。それに比べて山径の方は陰気ではあったが心を静かにした。どちらへ出るかはその日その日の気持が決めた。しかし、いま私の話は静かな山径の方をえらばなければならない。吊橋を渡ったところから径は杉林...
更新日: 2025/04/16
猫のにゃんたろうさんの感想

理想の光。暗黒の絶望。それらが合わさって「退屈な日常」へと。梶井さんらしい表現。

更新日: 2024/04/23
19双之川喜41さんの感想

 私は かけい(ひ)の 実物は ほとんど 眼にしたことは 無いけど 木や竹を 用いて 高い所に 水を 通す 細工(さいく」らしい。材木が 古びてくると 辺りの 景色に 溶け込み 判然と しなくなってしまう。水音に 導かれて かろうじて 眼に 入ったり することは あることはある。丁寧(ていねい)に 観察しつつ 著者は 山径(やまみち)を さぐると 想った。

更新日: 2021/12/05
いちにいさんの感想

希望(光)と絶望(暗)が表裏一体だなんて、自分の宿命を、現実を退屈と表現している。しかも、其れは永遠なのだと。束の間の光も錯覚、幻想。病と言う宿命からは逃れられないと言う絶望感。闇の作家として、後世に脚光を浴びるとは誠に皮肉なことだ。

更新日: 2015/11/14
イリュージョン亭チェリスさんの感想

生の幻影は絶望と重ねられている。