「過古」の感想
過古
かこ
初出:「青空」青空社、1926(大正15)年1月号

梶井基次郎

分量:約5
書き出し:母親がランプを消して出て来るのを、子供達は父親や祖母と共に、戸外で待っていた。誰一人の見送りとてない出発であった。最後の夕餉《ゆうげ》をしたためた食器。最後の時間まで照していたランプ。それらは、それらをもらった八百屋《やおや》が取りに来る明日の朝まで、空家の中に残されている。灯が消えた。くらやみを背負って母親が出て来た。五人の幼い子供達。父母。祖母。——賑《にぎや》かな、しかし寂しい一行は歩み出し...
更新日: 2025/04/16
猫のにゃんたろうさんの感想

旅情での13年前の自分に出逢い。古びた景色。暗闇の中での燐寸の焔と列車の響きと光の残像。芥川の蜜柑と繋がる自分がいたことを許して下さい。

更新日: 2022/04/08
19双之川喜41さんの感想

 古い 座布団を 日向に 干し 見知った 友の家を 見掛け なんという 旅情だと つぶやく。機関車の 激しい 通過の 響きの 脇で 普段着のまま 故郷に 向かいたく なったりする。詩情溢れ 素晴らしい 作品と 想った。

更新日: 2020/11/10
yopparariさんの感想

ぶつような激しさをもつ郷愁がよく伝わってくる。汽車のシーンで特に。

更新日: 2017/12/06
芦屋のまーちゃんさんの感想

久しぶりに梶井を読むが、 やはり、 「暗闇」 だ。 「得体の知れない」感情なのだ! 夜逃のような一家での引越(都落) 自分だけ再びその町近くでの学生生活 昔住んだ町の様子を見たくなる気持ちはよくわかる 私も実際、松戸、名古屋、博多などを巡った経験がある 全く知らない名前の表札に得体の知れない違和感と不安を抱く 自分だけが取り残された疎外感 俺はココにいるぞ! 我にかえり、家族を思い出す 明日、帰ろう

更新日: 2015/11/03
イリュージョン亭チェリスさんの感想

なんという旅情だ。 子供の頃に夜逃げした町を再び訪れる青年の胸中。