正岡子規
天井板の木目模様が 人の顔に見えて 気になるので 寝返りをうつと こんどは 襖にある 雲形の 模様が 天狗に 見えたりする。 気が散る中 寝床で 仕事に 励む。超人的な 気力と 思う。
こういう経験は誰でもある。 古い旅館などに泊まったときなど。 天井のしみが気になる。 健康な者でもそうなのだから、 病床の身ならなおさら、不安と恐怖であらゆるものが顔となって襲いかかるのだろう。ランプの影に死者の顔が見えたときの子規は自分の死期を悟ったのではあるまいか?