「狂人日記」の感想
狂人日記
きょうじんにっき

ゴーゴリニコライ

分量:約67
書き出し:十月三日けふといふ日にはずゐぶん變なことがあつた。朝、起きたのはかなり遲かつたが、マヴラが長靴の磨いたのを持つて來た時、いま何時だと訊いた。すると、もうとつくに十時を打ちましたとの答へに、おれは大急ぎで身じまひをした。正直なところ、役所へなんかてんで行きたくはないのだ。行けば、きつと課長の奴が澁い面《つら》をしやがるにきまつてゐる。奴はもうこの間ぢゆうからおれの顏さへ見ればこんなことを言やあがるん...
更新日: 2024/05/01
19双之川喜41さんの感想

 下級官吏の イワーノフは 分かり切った 無理筋なのに 上司の娘に 惚れたとして 娘が 自分を 愛しているとの 妄想に 落ち込む。いわば 毎日の 鉛筆削りが 仕事の ようになり 挙げ句の果てに 自分は スペイン国王であると 言い募る。収容施設に 入れられ 母親を 慕うような心持ちに 流れ着くけど 支離滅裂な 冗談を 相変わらず やめようとは しない。そこの浅い 官僚批判を 繰り出すのは 隠れみのの ようでもあるけど 判然としない。露国の 思い込みの はた迷惑の 源流を 示しているように 感じたのである。