「小さな旅」の感想
小さな旅
ちいさなたび
初出:「俳句世界」1918(大正7)年6月号

富田木歩

分量:約7
書き出し:五月六日今宵は向嶋の姉に招かれて泊りがてら遊びに行くのである。おさえ切れぬ嬉しさにそゝられて、日毎見馴れている玻璃窓外の躑躅でさえ、此の記念すべき日の喜びを句に纒めよと暗示するかのように見える。母は良さんを連れて来た、良さんと云うのは此の旅を果させて呉れる——私にとっては汽車汽船よりも大切な車夫である。俥は曳き出された。足でつッぱることの出来ぬ身体は揺られるがまゝに動く。私の俥は充分に外景を貪り得...
更新日: 2025/05/15
65c8aadc88adさんの感想

雙之川喜1941  向島の 姉の家に なじみの 人力車に のって ささやかな 旅に 出かける。墨提の 桜は ことごとく 葉になって 一片の 落花さえ みとめない。足の 不自由さを 車夫の 良さんの 働きで これは 吟行と いうべきか。 ゆく春や 蘆間の 水の 油色。

更新日: 2024/04/05
時間旅行者さんの感想

作者の背景に惑わされてしまいがちだが、この作品には感覚と言葉の巧みさにひきこまれてしまう力がある 見た情景や人々の心配りをとらえた言葉の美しさが心の琴線をとらえて離さない 俳人の研ぎ澄まされた感覚と眼差しの深さを感じる

更新日: 2016/08/05
2ae781e1191fさんの感想

“木歩”という名前に惹かれ読みました。日常のエッセイで読みやすいです。むしろwikiに記載されている彼の人生について感銘を受けました。ある一人の俳人の生涯を知ることができて良かったです。 あと感想、とはちょっと違うのですが躑躅(ツツジ)・鶉(ウズラ)・蘆(アシ)の読み方を学習できました。 ツツジは手強かったです。