「山の手の子」の感想
山の手の子
やまのてのこ
初出:「三田文学」1911(明治44)年7月

水上滝太郎

分量:約45
書き出し:お屋敷の子と生まれた悲哀《かなしみ》を、しみじみと知り初《そ》めたのはいつからであったろう。一日《ひとひ》一日と限りなき喜悦《よろこび》に満ちた世界に近づいて行くのだと、未来を待った少年の若々しい心も、時の進行《すすみ》につれていつかしら、何気なく過ぎて来た帰らぬ昨日《きのう》に、身も魂も投げ出して追憶の甘き愁《うれ》いに耽《ふけ》りたいというはかない慰藉《なぐさめ》を弄《もてあそ》ぶようになって...
更新日: 2019/10/29
19双之川喜41さんの感想

 明治中頃の 崖の上の錨(びょう)を打った黒門のあるお屋敷に住む少年は 時に 坂下の下町の悪童たちと 密かに遊ぶために 屋敷を抜け出す。 少年の お気に入りの少女は 鉄道馬車に乗って芸者奉公に 出るために去る。 甘酸っぱい追憶を 味わう作品と 感じた。