「電車と風呂」の感想
電車と風呂
でんしゃとふろ
初出:「新小説」1920(大正9)年5月1日

寺田寅彦

分量:約13
書き出し:電車の中で試みに同乗の人々の顔を注意して見渡してみると、あまり感じの好い愉快な顔はめったに見当らない。顔色の悪い事や、眼鼻の形状配置といったようなものは別としても、顔全体としての表情が十中八、九までともかくも不愉快なものである。晴れ晴れと春めいた気持の好い表情は、少なくも大人の中にはめったに見付からない。大抵《たいてい》神経過敏な緊張か、さもなくば過度の疲労から来る不感《アパシイ》が人々の眼と眉の...
更新日: 2022/03/13
鍋焼きうどんさんの感想

時代が違うので文明論的な随筆としては現代には通じない部分もある。でも話としてはとても面白い。入浴が人の心の緊張をほぐす事実は変わらない。各国の為政者が風呂に入って互いに背中でも洗えば戦争の芽も摘めるかもしれない。

更新日: 2016/05/12
芦屋のまーちゃんさんの感想

ナーバスとリラックス 交感神経と副交感神経 戦争と平和 風呂の効用は寺田の言う通り異論はない。大衆風呂が嫌いな日本人はいない。いるとすれば、公衆に裸体を陳列することを拒む者だけである。 風呂で仕事上のアイデアが浮かぶという者も職場にはいる。 折角、気持ちが和らぐ風呂にいて仕事のことなんて考えたくないが、以外とリラックスしている中では、good idea が自然に湧いてくるものだ。 会議と風呂 といってもいい。