「意欲の窒息」の感想
意欲の窒息
いよくのちっそく

豊島与志雄

分量:約9
書き出し:意欲の窒息豊島与志雄文化が新らしい方向を辿らんとする時、その派生的現象として、社会の或る部分に停滞腐爛を起す。大河の流れの中に、小さな淀みが処々に生ずるようなものである。流れと共に動こうとしても、河床や河岸の一寸した影響のために、一つの岩石のために、そこに淀んでしまう。そしてその中で、動く意志さえも無くなってしまう。文化の進展を欲する者が必然に起す種々の意欲は、何等かの理由による停滞のために、そこ...
更新日: 2018/09/23
いちにいさんの感想

まさしく、我息子の姿だ。 遂に大学受験を今年に迎え、更に精神疾患に拍車がかかってきた。一日中眠いという子どもに対し、妻は目覚まし時計以上の勢いで怒鳴り散らす。往来を通る人にまで聞こえているのではないかという大声で「勉強、勉強。」と何十回となく繰り返す。 息子は、まるで兎のように怯え、頭を掻きむしりながら、パニックを起こす。自分でもどうして良いのかわからないでいる。妻は追い討ちをかけるように「どうしたいの?どうしたいの?」と迫る。最後の力を振り絞って「少しだけ眠らせて!」と懇願する。 「眠ってる場合か!受験生なんだよ!」とお決まりのセリフを繰り返す。「少し寝たら、絶対するから。」と昨日も一昨日も聞いた台詞だ。 息子も、気分が晴れた時は、英語の単語帳を開いている。少し我々夫婦が目を逸らすと、いつの間にかソファーに寝転がっている。 今年の春頃から、毎日繰り返される光景である。私はどちらかというと卑怯な傍観者である。