「幻の園」の感想
幻の園
まぼろしのその

豊島与志雄

分量:約17
書き出し:祖母はいつも綺麗でした。痩せた細そりした身体付で、色が白く、皮膚が滑かでした。殊に髪の毛が美事でした。多くも少くもないその毛は、しなやかに波うって、ぼーっと薄暮の色を呈していました。際立った白髪の交らない、全体の黒みがいちどに褪せたそういう髪を、私は他に見たことがありません。祖母は病身のようでしたが、別に寝つくこともありませんでした。仕事という仕事をしたことがなく、手なぐさみに何かいじくったり、新...
更新日: 2025/09/06
艚埜臚羇1941さんの感想

  著者の 幼少時代の 想いでが 美しく 繊細に 語られる。ただの 思い込みに 過ぎなかったけど まぼろしの 兄弟の 存在を 信じ こんだり 数千坪の 屋敷の中を 走り回ったりして うらやましい 幼少時代を すごした。 文章の 名手で 翻訳家 として 成功したため 著述家と 言うべき 作品が 少ないのが 惜しまれる。