普段は通らない小径をあえて行く。その気持ちは分かるし、よくやったけど、足場の悪いところは避けるべきかな。
何時もの道とは 異なった 小径に ことさらに 迷い込んで見る。滑ったりすると 誰かに 見られてはいないかと 気にはなる。帰途 書かないでは いられないと 決意を 新たにし 開けてみた 鞄からは とても 入りそうにはない 泥の塊を 見つける。詩情あふれる 文章と 感じた。
ちょっと冒険をして、その経験から得た自分の感情の動きを文字に留めておきたいと強く思ったのだろう。作家の性(さが)だ。自分の心の中を深く探っていく作業がこの掌編を生んだ。
私なら見過ごしてしまいそうな、日常の些細な感覚をすくい上げるのが上手すぎる
「……自分の意識というもの、そして世界というものが焦点を外れて泳ぎ出して行くような気持……」 何となく、言わんとしていることはわかる。 誰かに見られていないか、という警戒心。世間体。見栄。 そこからの解放心。自由。白昼夢?秘密。本音。羞恥心。外れて泳ぎ出して行くものたち。