理屈ではない日本人の心。安吾はこの心を日本文化の底流に流れるものだと見たのだろう。押しつけられた美徳ではなくやむにやまれぬ心。そこに帰るには欺瞞的な善に浸っていてはたどり着けない。だから堕落論なのだろう。
安吾流『ドン・キホーテ』。軽妙な筆致が快い。後年、今村昌平の手で映画化されているが、あれはまるで別物。
安吾先生の小気味よい文体に乗せられ、一気に読みましたが、何を言いたいのか、分かりません。
街医者が 日々の診療の集積のなかから 肝炎の影響に気づく。 同業者から 揶揄されつつも 信念を貫き 診察にむかう漁船中で 爆撃を受け 海中に沈む。 寡黙な漁師たちの描写が巧みであると感じた。
安吾らしい勢いのある文章。
感動のラストに、心うちひしがれ涙し、自らの生涯に一喝の章と刻んだ。
流行性肝臓と戦った肝臓先生、 実話にもとづいていると知った時は驚き、このような人がいたことに敬意を感じる。