「散歩」の感想
散歩
さんぽ
初出:「中央文学 二巻九号」1914(大正3)年9月発行

水野仙子

分量:約15
書き出し:「おい、散歩に行《ゆ》かないか。」と、縁側に立つて小さく口笛を吹いてゐた夫は言つた。薄暗い台所でしてゐた水の音や皿の音は一寸《ちょっと》の間やんで、「えゝ」と、勇みたつたやうな返事が聞えると、また前よりは忙しく水の音がしだした。暗い夜であつた。少しばかり強く風が渡ると、光りの薄い星が瞬きをして、黒いそこらの樹影《こかげ》が、次ぎから次ぎへと素早く囁《ささや》きを伝へて行く。便所《はばかり》の手拭ひ...
更新日: 2024/04/09
19双之川喜41さんの感想

 散歩の途中で 夫から 台湾喫茶店で 休んでいこうかと 誘いを 受ける。張り切って 家を出たけど くたびれるにつれて 失業中の夫に 内心 面白くない気持ちを  胸に抱きつつ 日々を やり過ごしている 妻の 鬱屈した 心証が 伝わってくる 佳作と 感じた。