最後が良かった。 女性が、勇気が出ずに群衆に戻ろうとした時、主人公が手を引いて勇気を与えたシーンは心がジーンとして、2人のこの後どうなったのか気になる。
安吾節が利いている。醜悪の美。
覚醒剤の力も借りてはいるが圧倒的な迫力で一気に読ませる。 「差別語」とかホザいてる人間は「文学作品」というものを何だと思っているのだろう? はっきり言って「小説」を読む資格さえないと思う。
主人公は自分自身も人も大嫌いだけれど自分の才能を信じたかったり他人や何かを信じたいような…主人公なりの真実を探そうという世界への足掻きのようなものを読んでいて感じれた それは若者らしい矛盾している思考で懐かしさがあった
ドラマチック。
差別語のオンパレード。何かを見下さなければ、自分自身が生きてる気がしない男の独り言。戦時の荒んだ自分の心の醜さを表現したかったのだろうか。
白痴の女を押入に住まわせる男 東京に空襲が来て 死の恐怖と羞恥を天秤にかける 極限状態で揺れ動く女への男の感情が面白い 特にクライマックスに向かう男の感情
爆撃の最中の臨場感がありすぎて、自分自身が巻き込まれているようで読んでいてそわそわした。 感覚が麻痺するほどそこらじゅうに転がる肉塊。 それらの背景に想いを馳せる暇もなく通りすぎる気持ちってどんなのだろう。それは生き延びるための精神的な防御なんだろうか。 主人公が白痴とあちこちを逃げまわる中ヒーローのような気持ちに流されそうになったり、かと思えば今の状況を冷静に俯瞰していたりその心境の振れ方もすごくリアルに感じた。
偶然から 白痴の女と同棲し 空襲下の 焼け跡を 逃げ惑う。 張り合いがないから 女を捨てることは しないと言う。 明日に 希望がないので 捨てない。 成る程と 思った。
主人公の心理描写も良いが、空襲の描写も素晴らしい。
堕落論の小説編といった内容。 焼き鳥や火事で暖を取るシーンは堕落論にもある。逃げ惑う人々の姿がリアルで恐ろしいが、坂口安吾が書くと破壊の先に真実が見えてくるような気がする。 白痴さんは名もなく、白痴とか豚とか今書けば人権問題かもしれませんが、物語の始めに普通の人達の方が余程おかしいと書いてある。 白痴さんの元旦那さんの気違いさんの話が中途半端でもう少し突っ込んでくれないかと思う。 白痴さんは爆弾から逃げた後に初めて意志を表す様に書いてあるけれど、伊沢に好意を持ったのも意志の表れではないか、矛盾を感じる。そこら辺が手抜き感がある。 野外で布団にくるまって寝る白痴さんは、確かに豚かもしれないけれど、何か可愛らしさが私には感じられる。 戦争の愛情によって二人は一緒に居る。 ラブストーリーなのか、無情感なのか自分には分からない。
芸術は無力だの喚く人とか、妹を始末する姉とか、そうした理知ある人よりこの白痴の方がよっぽど純粋で、疲れた主人公には合うんだろうね
主人公は冴えぬ青年で空虚な生活のために刺激を欲していたところ、そこに[白痴]と[戦争]が舞い降りる。 人間というモノをとことん卑下する主人公にとって動物以下である白痴は稀有な存在であったらしい。 中途の大空襲の描写は圧巻である。
最初はつまらないと思っていたが、途中から面白くなってきた。なかなか面白かった。
戦争という異常事態において一種の興奮状態にある主人公の、人間の本能的な愛欲にまみれた描写が生々しく感じられた。
陰鬱な感じだ。