「老夫婦」の感想
老夫婦
ろうふうふ
初出:1925(大正14)年9月

黒島伝治

分量:約33
書き出し:一為吉とおしかとが待ちに待っていた四カ年がたった。それで、一人息子の清三は高等商業を卒業する筈だった。両人《ふたり》は息子の学資に、僅かばかりの財産をいれあげ、苦労のあるだけを尽していた。ところが、卒業まぎわになって、清三は高商が大学に昇格したのでもう一年在学して学士になりたいと手紙で云ってきた。またしても、おしかの愚痴が繰り返された。「うらア始めから、尋常を上ったら、もうそれより上へはやらん云う...
更新日: 2019/10/31
19双之川喜41さんの感想

 田舎で 水のみ百姓をしていた老夫婦は 喰うや喰わずで 息子に仕送りをして 教育をつけ その息子から 都会に 引き取ってもらうことになる。 ご多分に漏れず 都会生活に馴染めず 居心地は悪く しきりに 田舎生活を 懐かしむ ように なってしまう。 この老夫婦を応援するしかないのだけど 息子夫婦の気持ちにも おもわず 同感するので はらはら やきもき してしまうのである。