西鶴と科学
さいかくとかがく
初出:「日本文学講座 第十五巻」改造社、1935(昭和10)年1月21日分量:約27分
書き出し:西鶴の作品についてはつい近年までわずかな知識さえも持合せなかった。ところが、二、三年前にある偶然な機会から、はじめて『日本永代蔵《にっぽんえいたいぐら》』を読まなければならない廻り合せになった。当時R研究所での仕事に聯関して金米糖《こんぺいとう》の製法について色々知りたいと思っていたところへ、矢島理学士から、西鶴の『永代蔵』にその記事があるという注意を受けたので、早速岩波文庫でその条項を読んでみた...