「山上湖」の感想
山上湖
さんじょうこ
初出:「新潮」1949(昭和24)年1月

豊島与志雄

分量:約27
書き出し:十月の半ばをちょっと過ぎたばかりで、湖水をかこむ彼方の山々の峯には、仄白く見えるほどに雪が降った。翌日からは南の風で少し温く、空晴れて、宵に大きな月がでた。「まあ、きれいな月……。外に出てみよう。」誘うともなく、誘わぬともなく、言いすてて、私は外套をまとい、スカーフを首に巻きつけた。「ちょっと待って。これで大丈夫かな。」寒くはないかという意味なのだ。シャツの上に湯上りと丹前を重ねただけの平田は、あ...
更新日: 2025/06/19
233de527267aさんの感想

真剣になったら心中なんてできないのかもしれないな。真面目に死ぬなんて馬鹿らしいもの。不義の恋愛をして無理心中しようとしているなんてとんでもなく盛り上がるロマンチックな状況のはずなのに心はどうしようもなく冷めていくというのは笑っちゃいけないんだろうけどちょっと面白くもある。 美津子さんも相手に言いたいことを全部言えばいいのにと思うけど、死ぬつもりがなくなってるからもう言わないんだろうな。