男女の 秘め事を 暗号(安吾)化したことには 違いない。 謎解き仕立てなので 筋立ては 緻密であるけど 情感に溢れ (清張)のように 古代史に明るい 坂口ならではの 作品であると 感じた。
坂口作品で私の最も好きなものに入るレベル。 奥さんの左利きに合わせていた行動に気付いた時のハッと感は凄い。(本当に左利きに合わせていたのかどうか、そこの真実が気になるところではある) 急展開のラストでの子供たちの言葉が例え主人公の想像だとしても実際にそうであってほしいと思えた。 泣けると言われる作品を見てもあまり泣かない私だがこれは最後泣かされてしまった。
面白い作品ではあったが、 疑った妻や親友への懺悔がない。主人公の人格をうたがう。
安吾の作品のなかでも、とりわけ好きな作品。 アンゴウ、安吾、暗号。 倫ならぬ関係を示す暗号かと思わせておきつつ、実際は幼い兄弟の暗号であったギャップに感情を揺さぶられ、涙が止まらなかった。