「私の葬式」の感想
私の葬式
わたしのそうしき
初出:「風雪 第二巻第六号」1948(昭和23)年6月1日

坂口安吾

分量:約4
書き出し:私の葬式坂口安吾私は葬式というものがキライで、出席しないことにしている。礼儀というものは、そんなところへ出席するところにあるとは思っていないから、私は何とも思っていないが、誰々の告別式に誰々が来なかったなどゝ、日本はうるさいところである。大倉喜八郎というお金持はオレが死んだら赤石山のお花畑へ骨をまいてくれと遺言したそうだが、私は別にそう凝った手数をかける必要はないから、私の骨なんかは海の底でも、森...
更新日: 2022/04/21
cdd6f53e9284さんの感想

坂口安吾が、自身の葬儀についての所感を書いたもの。 葬式を出されるなんて、まっぴら御免だそうだ。 ただシンプルに、死ぬのが怖いだけの負け惜しみだと思うが、それにしても、なにもわざわざ公言することはないだろう。 安吾は言う、俺の死体なんか秘密裏にさっさと始末して、あとは、友だちを集めてドンチャン騒ぎをやってくれればいいそうだ。 しかし、自分の死にまつわるこの手のことは、言えば言うほど弁解じみて嘘っぽく聞こえる。 実際のところは、生家でちゃんとした葬儀が行われ、立派な墓にも入っている。 なんのことはない、現実を受け止められない臆病者が強がって格好つけただけの話だ。 いわば、反語の色眼鏡を掛けて見ないと、真実の心情を見誤るおそれがあるということだ。 そう考えると、堕ちろや堕ちろの堕落論なんかも、なんか怪しくなってきやしないか。 強がりや反語の歪みをまともに聴いてしまったら、嘘の上塗りになるんじゃないかと危惧するばかりだ。せざるを得ない。 葬儀は、安吾がいうように決して悪いものなんかじゃない。 死んだことを思い出せる、文字通りのメモリアルなんだからだ。 そう考えると葬儀は、死に行く自分のためではなく、この世に生き残る生者たちのためのものなんだよ、安吾くん、 君は、葬儀の場で参集した友だちとかが、君の悪口を言うのではないかと恐れ、だから葬儀なるものを、そんなにも忌み嫌っているのかもしらんが、たとえそうだったとしても別にいいじゃないか。 それこそが、君なんだよ、 どうだ、分かったか、ん!!

更新日: 2020/10/07
yopparariさんの感想

坂口安吾は皮肉とか好きな感じあるけど、根は真っ直ぐだよなあと思う

更新日: 2018/10/27
5aa7ac1702e7さんの感想

安吾らしい(笑)

更新日: 2018/08/14
いちにいさんの感想

葬式どころか冠婚葬祭全て必要ないと私は考えているので、作者の思想はごく自然だ。 葬式などに金を含め無駄な労力をかける必要はない。妻が悲しむのは労働力を失ったという事実に対してで、その上に葬式で無駄な出費をさせるなんて夫としても堪忍できない。 結婚式なんぞ、他人の「不幸」を祝って甚だ悪趣味な儀式だ。 ひとつ言えるのは、どちらも誰の為の儀式か?という点。盛大に実施することは、世間体のため、家族、親類縁者のためである。故人や本人は日常の生活を大切と感じているものだ。何かのイベント(年賀状もしかり)がなけりゃ、注目されないなんて逆に惨めではないか!と思う。

更新日: 2017/11/02
2d0418e6e01eさんの感想

全く同感。本当にその通り。 安吾のいうことには大抵100%頷ける。

更新日: 2017/11/01
ec41865ad148さんの感想

自分の死んだ姿なんか想像出来ない。やっぱり、明るく葬式は過ぎて行くといいんだね。

更新日: 2017/10/29
f256c3b4ffbaさんの感想

私も同意見。適当に後始末をしたらお葬式もお墓も要らぬよ。

更新日: 2017/09/10
芦屋のまーちゃんさんの感想

「人間は生きているうちが全て」で死んだら「無」である、と安吾は言う。 東洋大学(彼はネハン大学と言っているが)で宗教を学んだ男の結論だ! 葬式が嫌い。他人のもましてや自分のもだ。坊主も、お教も意味がない。 痛快である。 現代社会(サラリーマン界)でも、 家族葬的なものが流行りだ。 出席や香典はご遠慮下さい、となる。 忙しい時に他人の、しかも本人ならともかく祖母や祖父が死んでも行かなけりゃならぬ葬式なんぞ甚だ迷惑な話だ!行く方も来られる方も互い迷惑なのだ。香典返しも大変である。 死んでからも誰かの世話になるなんて気がひける。安吾と同意見。 私は、葬式以上に嫌いなのが結婚式と考える。まず、葬式は1回であるが、結婚式は1回とは限らない。もっとも2回、3回の輩は普通自粛するだろうが、中には図々しいのもいるにはいるようだ。他人の不幸もそうだが、他人の幸福を見せつけられて、何が面白いのか?もっとも、結婚が必ずしも幸福とは限らないので、その意見では葬式と同レベルと思う。 以上、雑感である。

更新日: 2016/11/01
652a80165a76さんの感想

とても良い。私も死後はそうしてもらいたい。

更新日: 2015/12/29
論武 寿朗さんの感想

坂口らしい作品だ。彼の性格が表れている。ユニークな人。面白い。