「二十七歳」の感想
二十七歳
にじゅうしちさい
初出:「新潮 第四四巻第三号」1947(昭和22)年3月1日

坂口安吾

分量:約47
書き出し:魂や情熱を嘲笑ふことは非常に容易なことなので、私はこの年代に就て回想するのに幾たび迷つたか知れない。私は今も嘲笑ふであらうか。私は讃美するかも知れぬ。いづれも虚偽でありながら、真実でもありうることが分るので、私はひどく馬鹿々々しい。この戦争中に矢田津世子が死んだ。私は死亡通知の一枚のハガキを握つて、二三分間、一筋か二筋の涙といふものを、ながした。そのときはもう日本の負けることは明らかな時で、いづれ...
更新日: 2022/07/20
阿波のケンさんさんの感想

作者は実に開けっぴろげに自分や周りを描いている。恋仇のWを除いては実名と思われる。恋人との結婚は安吾以外両家の親を含めて全ての人が祝福しているが恋人の愛人Wがどうしても気にかかる。実話だけにどうしようもない。

更新日: 2021/11/13
19双之川喜41さんの感想

 坂口安吾は  矢田津世子 とは  プラトニックラブだと言い張るので そうなんだろうけど  一時は真剣に お互い 結婚まで考えた仲なのに 屈折した 斜に構えた ややこしい愛を 持て余していたのかもしれないと感じた。

更新日: 2020/10/15
yopparariさんの感想

「犬のような惚れ方」という例えが良かった

更新日: 2018/08/25
いちにいさんの感想

確かに、実名をあげられると、nonfictionのような錯覚を覚える。 特に、中也ファンが存在するならば、 猿股一丁で大の字に床で寝ていた、 などの記述は、イメージダウンかも知れないし、逆に中也でもそんな行為をするのか!と益々ファン度が増すかも知れない。(例えば中也なら中也で良いが、当時の映像が残っていないので、教科書掲載の写真、そうあの童顔美男子のあの写真しかないので、酔っぱらって脱ぐなんて、現代サラリーマン的で全然OKだ。) 矢田世津子とW、との関係に対する嫉妬心はあるが、Wを恨んでないというので「W」なのか? 丹羽が実名での暴露本的作品に対する批判、わからんでもない。 安吾は「作者の息吹」を感じ取れと言うが、女給に対しては大胆なくせに、得恋をした女には恐怖を感じ、肉体も求められない心境は理解できない。 愛の「ある」肉体関係を否定し、寧ろ 愛の「ない」肉体関係を肯定するのか? 世津子にとってのセフレがWで、安吾にとってのセフレは不特定多数の女給ということになるのか! 安吾が世津子に肉体を求めないのはWと同格になりたくないからか? 結婚してもW不倫でしょうね? 息吹はどこにあるの?